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[[ファイル:「なわとび運動」題字.jpg|中央|415x415ピクセル|『なわとび運動』(こちらの資料は高35回生の方からご提供いただきました)]] == 『なわとび運動』== 東京都立小山台高等学校 体育科 === まえがき === 学校・職場または家庭で、なわとび運動がおこなわれているのをよく見かけるだろう。これはなわとび運動が生活の中から自然に生まれたためであろう。しかしその跳び方の種類・内容・方法が限られていて、何かものたりなさを感じているのではないだろうか。興味を失うことなく自然の形式より出発して、やさしい跳び方から困難な跳び方と次々に成功していくよろこび。競争的にあるいはより合理的にかつ美しく、また団体でマスゲーム的に行う方法はどんなものがあるだろうかなどと考えるとき、限りなく創造的妙味があるものである。その特質を失うことなく、一層体育的に、またはレクリエーションとしても行うとき、困難な種目は、どこに注意し、どのような練習をしたらよいかということが必要になってくる。それらを研究し、お互いに協力してなわとび運動の醍醐味を十分味わってもらいたいものである。 ==== ○なわとび運動の心身に及ぼす影響 ==== なわを跳ぶという一見単純にみえるなわとび運動も、よくみればリズミカルな形式からできており、緊張と弛緩の連続、手足の動作の統一と変化がある。各種の跳躍となわの変化との調和するところに興味が生まれ、各種の跳び方を組み合わせたより合理的な跳び方の中に醍醐味が感じられる。 ①全身運動であり、体を均斉に発達させ、美しい姿勢をつくる。 両脚部を主とする跳躍運動のようにみえるけれど、脚部の筋肉が中心に作用し、上肢の運動に伴う胴体の筋肉の作用と心臓・肺臓等の内臓諸器官に及ぼす効果は大きい。これは形態的にも機能的にも均斉な発達をうながし、また姿勢が悪ければしっぱいするので常に注意するようになる。より美しく軽く合理的に跳ぼうとすれば、上体・脚・腕等の各部の相互関係が統一された中に、緊張と弛緩・リズム・正確さ等の●的姿勢が自然に養われる。 ②内臓諸器官の中で、とくに心臓・肺臓の活動を増大する。 強度のなわとび運動は息切れがして二分と続けられないだろう。これは心臓の作用が著しく高まり、かつ呼吸器もこれに伴って活動するからであって、生命の泉といわれる心臓と肺臓の活動力を増大する。 ③巧緻性・持久性・機敏性・正確性を養う。 巧緻性・正確性は困難な種目になればなるほど必要である。ということは器用さを必要とすることにもなる。またなわとびは瞬間的に変化が表われ、すばやくこれに順応しなければならないので、順応力と反応性、精神の集中力が必要で神経の調整力を増大させる。 ④積極性・勇気・協力・規律性を養う。 困難な種目に対して自ら進んで成功しようという積極性と勇気、心身一体となり夢中でできたときの喜び、あるいは協力で行う複合とびで養われる協同の仕方、種目の移り方、正しくとび、しめくくりのある終わり方など、お互いが気持ちよく和やかにたのしむふんいきの中に自然に品性が養われる。 ==== ○なわとび運動の効用 ==== ①レクリエーションとして レクリエーションとしても毎日の生活の中になわとび運動を是非実行してほしい。健康とは食事がおいしく頭がはればれとして適度にはたらき、快くねむれることと常識的に定義するならば、その上により活気に満ちた積極的な意欲と小事にこだわらずにてきぱきした判断力、明るい性格をもって生活するためには、どうしても毎日の日課に軽い運動が必要である。学校はもちろん、工場等のレクリエーションとしてなわとびは適切な運動の一つにあげられる。 ②各種スポーツのトレーニングとして なわとび運動は、脚部の速度・強さ・持久力を中心とした全身運動であるから、とくにフットワークと走ることを主な要素とするスポーツ(バスケット・野球・ボクシング・庭球・サッカー・ラグビー・バレー)などには最適のトレーニングである。 ③肥満を防止する なわとび運動は数分間にして発汗するから肥満した人はそれほど強い疲労を感ずることなしに体重を軽減することができる。その結果、脂肪肥満型から筋肉型になることができ、動作を機敏軽快にするところから生活能力を増大することになる。 === ◆実施上の注意 === ==== ①なわの選び方 ==== ===== (1)長さ ===== ====== イ.短なわ ====== 一人跳びに用いる短いなわを短なわといい、その長さは各自の身長によって多少の差はあるが一般に大人3m、子供2mである。正確にはなわの中央を足先で踏み、その両端がまっすぐに立った肩までの長さが適当である。しかし種目によって、胸位、ウエスト位、頭の高さ位と分けて行うとよい。 ====== ロ.長なわ ====== 二人がなわの両端をもって廻し、他の者が入って飛ぶ場合に用いる長なわをいう。種目によって多少長さがちがうが、ふつう6m位のを用いる。 ==== ②場所 ==== (1)心臓・肺臓の活動が大きい運動であるために空気の清い場所であること。 (2)跳躍運動であるから、コンクリートのように頭にひびく固い場所はよくない。運動靴で行ない、砂利等の無い地面で行うこと。 ==== ③始めと終りの姿勢 ==== ===== (1)初めの姿勢 ===== 両手の一を肩から前方に出して肘を軽くまげ、なわはひざの後方よりいくらか下にたらす。 ===== (2)終りの姿勢 ===== 跳び終わってなわを止める場合は、片足を半足長前に出し、かかとを地につけ足先をあげる。そしてなわを地面と足先の間に入るように引き込む。 (注)なわは必ず小さく結んで持ち運びすること。 ==== ④実施上の一般的注意 ==== (1)両手首は常に左右ひとしい位置にあること。普通きき腕が下がりがちになるから注意すること。 (2)上体は正面に正体して地面に垂直であること。両腕・両脚の動きによって上体がくずれないこと。 (3)なわをよくみること。前上方でなわが正しく弧を画いているかを常にたしかめること。 (4)リズミカルに跳ぶこと。常に同じテンポで跳ぶこと。 (5)始めと終りをはっきりとすること。 (6)回数・方法などを正しく行うこと。 (7)お互いに向上心と研究心をもち、協力し合って行なうこと。 ⑤衛生上の注意 (1)場所について十分考慮する。 (2)軽い種目から始める。急に二回廻旋とびなどを連続して行なわないこと。 (3)適量を行なうこと。トレーニングで行なう時は別として、毎日の身体の調子はふしぎに毎日のなわとびで感じることができる。適量とは各人の体力によっても一口にいえないが、いくぶん汗をかき、体中が暖まり、爽快な気分になった時は適量といえるだろう。もし、ぼんやりとしたうつろな心となり、活動に消極的になれば適量とはいえない。 (4)整理運動として、膝屈伸や体の前後屈等の運動を十分行なうこと。 (5)発汗後の仕末をよくすること。 === ◆用語の説明 === イ.順廻旋 前まわしのこと。 ロ.逆廻旋 後ろまわしのこと。 ハ.空振り なわの両端を合わせ、片手または両手をつけて持つ方法で、なわを跳ばずに体の側で腕だけをまわすもの。 ニ.一廻旋二跳躍(一対二) なわを廻して跳ぶとき、なわが一回廻る間に二回跳躍をつづけるもので、なわも跳ぶものもゆるやかな動作になる。 ホ.一廻旋一跳躍(一対一) なわが足下に廻る度にいつも跳躍するもので、なわも跳ぶ人も速い動作になる。 ヘ.二廻旋一跳躍(二対一) 一度なわを越すために跳び上り着地するまでの間になわを二回足下を通す。もっとも速くなわを廻すもので、二回廻旋跳のことをいう。 ト.外廻旋と内廻旋 長なわの廻し方を決めるために使うことばで、長なわの中に入って跳ぶ人からみて長なわが地面をたたき、跳び手の側に廻ってくるとき外廻旋に長なわが廻っているといい、長なわが地面をたたき、跳び手の反対側に廻っていくとき、内廻旋に長なわが廻っているという。 === ◆なわの跳び方 === ==== <短なわ跳び> ==== 一本の短なわを一人で廻し、一人で跳ぶもので、容易なものから美しく力のいるもの、困難なものまで数多くの種類があるが、主なものをいくつか取り上げてみよう。 ===== ①両足跳 ===== 両足を揃えたまま跳んで、なわを越す跳び方をいう。始めは一廻旋二跳躍でゆっくりと行ない、次は一廻旋一跳躍に入るとよい。この跳び方はもっとも簡単に誰にでもすぐにできるが、この種目では基本姿勢に十分注意して、とくに跳ぶときに悪いくせがつかないように注意する。また、なわとび運動をはじめるときはかならず両脚跳を準備運動の一つとして行なう。両足跳は自分のその日の身体の調子を知るため、くせをなくす意味からも、なわとびの基本跳びといえる。なるべくなわが地面にすくなくつくように、身体の跳び上がり方も最小限に低くして、軽く美しい姿勢で合理的に跳べるように練習すること。 ===== ②片足前跳 ===== 片足を前に出して跳ぶもので、左右いずれかの足を前に出してまたぐようになわを跳び越す。このとき前後の足は一足長位離れていること。 ===== ③脚前後開閉跳 ===== 始めになわを両脚で跳び、次に前後に開脚したまま跳び、ふたたび両脚で跳び、次に前後に開脚(前回とは逆の足を前に出す)で跳ぶことの連続である。2つの種目が混合されたものであるから、はっきり区別して跳ぶことが大切である。 また、これと似た種目で前後でなく左右に開く、左右開閉跳もある。 ===== ④両腕交叉跳 ===== 両腕を交叉したまま跳びつづける跳び方である。両腕の肘関節が重なるぐらい交叉し、なおかつ手首を十分動かしてなわの回転を助けること。手首でなわを廻すときの力を入れる時期は、なわが足下を過ぎた瞬間である。また両手首の位置は左右ひとしい位置になければならない。はじめは多少状態を前かがみの姿勢で行なうと容易である。 ===== ⑤駈脚跳 ===== 駈脚足踏をしながら跳ぶ。なわが一回廻るごとに片足で跳ぶ。この種目では速度を速めたり、遅くしたりして十分に身体となわが速度に合うように練習すること。また、右足で跳ぶとき、左脚は浮かしておくことになるが、前に引き上げることが大切で、うしろへ曲げないように注意しないと失敗する。 ===== ⑥駈足あや跳 ===== 駈足跳で一回おきに腕を交叉する跳び方。すなわち、腕を交叉しないで一回跳び、次に腕を交叉して跳ぶことを連続して行なうものである。あや跳びは駆け足で行なうのがもっとも快適である。注意する点は、腕を十分交叉させることと、腕の動かし方は体前で8の字をかくようにすることが大切である。また、開いて跳んだあとに交叉するときは、下からすくいあげるようにするとあや跳びの失敗が少ない。練習するときは、一対二のゆっくりしたものから行なうとよい。 ===== ⑦回転跳 ===== ====== (1)一廻旋二跳躍 ====== 片手・片足を軸として片脚前跳で一回転する。上体は軸に傾く姿勢をとり、右回転するときは右足が前に出る。右手首で地面の軸足を中心とした大きな円弧をえがくようにし、左手は高めに大きくなわを廻し、いくぶん前かがみの姿勢となる。また、目の位置は回転する軸足を見ながら跳ぶ。 ====== (2)一廻旋一跳躍 ====== 片足を軸にして片脚跳で一回転する。一対一であるため、ゆっくり高く跳ぶと軸足の位置が移動しやすいので、速度を早く、低く跳ぶ。そして、ある一定のテンポでリズミカルに跳ぶことが大切である。 ===== ⑧踏替跳 ===== なわが一回廻る間に片足で二回跳び、次の廻旋で足を踏みかえる跳び方の繰り返しである。この跳び方で注意する点は、片足でホップしたとき、曲げたひざが、地面に水平になるように高くあげることで、うしろへ曲げると失敗しやすい。 ===== ⑨脚前振跳 ===== 片足で二回跳ぶ間に、浮いた足を横から前に振り出し、次に反対の足にかえて、二回跳ぶ間に、浮いた足を後ろから前に振り出して跳ぶことのくり返しである。すなわち左足で跳んで右足後振り、跳んで右足前振り、足をかえて右足で跳んで左足後振り、跳んで左足前振り、これを繰り返すことになる。はじめはなわを持たずに手を腰にあてて足だけ練習するとよい。なおこの跳び方には一対二と一対一とある。足先をのばして美しく軽く飛ぶようにし、両手の位置が乱れないように注意すること。 ===== ⑩前後両脚跳 ===== 脚前後跳と両脚跳を組合わせた跳び方である。左足と右足の前振跳の間に両足跳を入れる。すなわち、1で右足を後に振り、2で右足を前に振り出し、3で両足跳、4で左足を後に振り、5で左足を前に振り出し、6で両足跳、このくり返しであるからリズムは三拍子になる。軽くリズミカルに跳ぶこと。 ===== ⑪前方片手交叉跳 ===== 右・左と片手ずつ交叉して行なう跳び方で、両脚跳か片足前跳で跳ぶとよい。まず腕を交叉して跳び、次に交叉したときに下側になった腕を体側でなわを跳ばずに下から上へ大きく廻し、返ってきた腕を上へもってきて交叉しなわを跳ぶ。次に反対の腕を行なう。このくり返しである。 ===== ⑫後方片手交叉跳 ===== 逆廻旋で片手ずつの交叉跳を行なうもので、うしろとびになるから、腕を交叉したときに上側になった腕を上から下へ大きくまわすようにする。前方片手交叉跳とまったく逆の跳び方である。 ===== ⑬方向変換 ===== なわを同一方向に廻している間に、なわの廻旋を止めずに、跳ぶ者が180度向きを変えるものである。方向変換には易しい方法と難しい方法と2種類ある。 ====== (1)易しい方向変換 ====== ====== イ.前方より後方へ ====== 両脚跳で跳び、次両脚を揃えて直立したまま、ただちに左右の手を合わせ、なわを跳ばずに体側に大きく流しながら体を180度向きを変え、すぐに揃えた両手を開いて後とびを行なう。 ====== ロ.後方より前方へ ====== 後廻旋で跳び、両手を頭上に高く上げ、なわの下りてくる間にすばやく180度体の向きを変えて前とびを行なう。このときは体側になわを流さない。 前方より後方へ、後方より前方へ、と行なって方向変換は1回(一往復)と数える。注意する点は、体をはっきり180度向きを変えることと、なわはゆっくり、体はすばやく変換させ、なわの廻旋にさからわないことである。 (注意する点) a.腕交叉跳でなわが足下を完全に通過してから腕をのばしてなわを高く上げるのであって、腕交叉をしながらむきを変える動作はいけない。 b.頭上に高く腕を上げて行なうこと。 c.腕を交叉したときに、上側になった腕の方向へ廻って向きを変えるとなわが頭上できれいに開く。 d.なわの交叉を解く動作と方向を変える動作とは敏速に、なわの速さはできるだけゆっくり行なう方がよい。 ===== ⑭二回廻旋跳 ===== 一跳躍の間になわを二回廻す跳び方で、普通二重まわしといわれている。そのためになわを速く廻すことが必要になってくる。腕の引きしめと手首の使い方が大切で、要領は肘を体側にしっかりつけて、手首の回転を小さく早くできるようにすること、なわは短かめに持ち、はじめはひざを曲げて着地を遅くする。間に両脚跳等を入れて間隔をおいて練習するとよい。できるようになったら連続して行なってみる。このとき跳躍となわの廻旋のタイミング・リズムを合わせること。この跳び方は跳躍力をつけるのに非常によい種目で、トレーニング等に多く使われる。なお、なわは空気の抵抗に負けないものがよい。 ===== ⑮二回廻旋あや跳 ===== 二回廻旋跳の二回目が腕交叉になる跳び方である。そのため腕の動かし方の速さと跳躍力が必要となってくる。あやにするときは駈足あや跳と同じように腕の交叉を下からすくいあげるようにし、体前8の字をかくように行なうこと。また交叉したあとの腕の開きを速くしないと失敗する。なわの長さは二回廻旋跳より多少長い方がよい。練習の時は、開いた跳び方から交叉へもっていく腕の動かし方と速さに注意し、さらに跳躍力を十分つけることである。 [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 1-1-.jpg|中央|『なわとび運動』-1(表紙)]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 2.jpg|中央|『なわとび運動』-2]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 3.jpg|中央|『なわとび運動』-3]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 4.jpg|中央|『なわとび運動』-4]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 5.jpg|中央|『なわとび運動』-5]] ===◆なわの跳び方=== [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 6.jpg|中央|『なわとび運動』-6]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 7.jpg|中央|『なわとび運動』-7]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 8.jpg|中央|『なわとび運動』-8]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 9.jpg|中央|『なわとび運動』-9]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 10.jpg|中央|『なわとび運動』-10]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 11.jpg|中央|『なわとび運動』-11]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 12.jpg|中央|『なわとび運動』-12]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 13.jpg|中央|『なわとび運動』-13]] ===「なわとび」級別達成項目一覧=== [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 14.jpg|中央|『なわとび運動』-14]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 15.jpg|中央|『なわとび運動』-15]] [[ファイル:Koyamadai nawatobi1024 16.jpg|中央|『なわとび運動』-16]] ==関連事項== :[[#top| ↑ページトップへ]] [[校歌| ←「校歌」のページに移動]] [[小山台体操|←「小山台体操」のページに移動]] [[メインページ#独自の文化| ↑↑メインページ(独自の文化)に移動]] ---- 脚注:<references/> <br>・<br> <div Align="right"> <span style="color:white;"> {{REVISIONYEAR}}年{{REVISIONMONTH1}}月{{REVISIONDAY}}日:直近編集者:{{REVISIONUSER}}<br> TimeStamp:{{REVISIONTIMESTAMP}} </span> </div> <br>
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